公認会計士・税理士 南谷朝子先生

公認会計士・税理士の南谷朝子先生にお話をお伺いしました。

南谷 朝子 氏
平成28年、14年間勤務したEY新日本有限責任監査法人を退所。父・姉妹の開設する法律事務所と同フロア―にて公認会計士税理士事務所を開業、現在に至る。
公認会計士協会北部九州会女性会計士活躍促進委員会委員長、国立大学・公立大学監事等の役職を現任。プライベートでは中1と小3の男の子の母。

 宜しくお願いします。14年間監査法人で勤務後、事務所を開設し、公認会計士・税理士の仕事をしながら、佐賀大学、福岡女子大学の監事等の社外役員を複数させて頂いています。社外役員については、経験がなく最初は不安でしたが、せっかくご縁をいただいたのでやってみようと思いました。
 監査には、決算書の数字が適正なものかを確認する会計監査と、役員の業務執行が適法になされているかについて専門知識を基にコンプライアンスの視点やより広い視野で行う業務監査の二つがあります。会計監査については会計士の経験が活かされますが、業務監査については、大学運営については知らないことが多く、色々と教えてもらうことの方が多いですが、少しでも役に立ちたい、何か還元できればという気持ちで行っています。

-西田:公認会計士協会北部九州会 女性会計士活躍促進委員会委員長でもいらっしゃいますが、女性の会計士はどのような状況なのでしょうか。

 まだ女性比率は少なく全体の2割程度です。会計士のフィールドは広がっていて、独立している人も多いです。また、監査法人での女性管理職は増えていますし、男女格差は少ない業界と思います。ただ、監査法人の女性パートナー(役員)は九州ではまだ少ないですし、研修会などでは昇進の悩みやセクハラの話もたまに聞くことがあります。
 昔はクライアントに「女の担当は嫌だ」とかあからさまに言われることもあったと聞きましたが、最近はそんな話を聞くことはありません。女性の先輩方が切り開いてくれた道だと感謝しています。だから今度は自分たちがさらに道を開いていかないと、と思います。

-西田:社内ではなくお客様が、という話はよく聞きますね。私も若い頃は先方社長に「あなた1人で来たの?」とよく聞かれ、スタートラインから違うなぁと思っていました(笑) では、女性役員や役職者を増やすためにはどうしたら良いと思いますか。

 トップが女性を育てる&登用する努力を同時にやらないと変わらないと思います。また女性自身も自分に自信を持ち、新しいことにチャレンジする意欲をもっと持ってほしいと思うときがあります。以前、某会社役員の方とお話しした際に「女性は精神的に脆い面がある」「壁にぶつかった時に折れやすい」と決めつけて仰っていたので残念に感じました。一方で、女性を登用したいと思っても辞めていく現実もありますよね。もちろん色んな生き方がありますが、働き続けることによって、自分の能力が向上して、そのステージにあった仕事ができるという楽しさはあると思います。お給料が上がると嬉しいですしね笑。。子育てやPTA活動などを通じ色んな方に出会う機会がありますが、企画力、段取り力、リーダーシップが素晴らしい方がいて、びっくりすることがあります。その中には家庭でのサポートに専念されている方もいますが、その能力が直接社会に活かされれば、日本はもっと良くなるんじゃないかと本気で思っています。

-西田:もっと働き方が柔軟になるといいですよね。私は同じグループの企業に20代後半の時と、8年経って再び数年間所属しとても良かったです。何より多様な経験を持って来ることを歓迎されます。ただ全く同じ形で再び所属できる企業はまだ少ないですし、女性は会社や周りへの影響を考え思い詰めて辞める方も多いですよね。

 確かに、会計士も両立などの理由で周りに迷惑かけてはいけないと、ギリギリまで苦しんで辞める方がいますね。私ももっと柔軟でいいと思うし、そのためにも若い時から経験を積み、様々な選択ができるようになることが大事だと思います。特に会計士業界は、会計基準や監査環境がどんどん変わるので、一度辞めると戻れないと思っている人が多く、私たちが橋渡し役になって、下の世代で活き活きと働き続ける人が増えるといいなと思います。深く考えすぎず、せっかくのチャンスには飛び込んでみるといいと思います、私も自然体で楽しむことを心がけています。

-西田:素敵なお話をありがとうございました。何より、南谷さんの明るく柔らかなお人柄且つ、プロフェッショナルな仕事への意識をお伺いでき、私自身がとても勇気づけられました。昨今、女性の役員をという流れの中で、会計士や税理士の女性が就任されることも増えてきました。それまで長年同じ方がご担当されている組織も多い中、ましてや女性でとなると就任する方も受け入れる方もハードルが高いですが、道を切り開かれていらっしゃる姿はきっと下の世代の女性や、周りの男性にも良い影響だと思います。

 社外役員の場合は、立場上あまり同じ人が長くし過ぎず、ある程度の任期で変わって新しい血、意見を言う方がどんどん入ったがいいと思います。専門職以外の女性の活躍の幅も広がっていますし、今後も連携していきましょうね。

-西田:性別だけでなく世代も職種もインクルードする柔軟な社会になってほしいですね。本日は本当にありがとうございました、こちらこそ今後ともどうぞ宜しくお願いします。