中村真紀さん

 3月8日「国際女性デー(ミモザの日)」にちなみ、外資系企業日本法人社長を退任し東京から糸島に移住された中村真紀さんをお招きし、ダイバーシティなキャリアとインクルージョンする組織と地域について吉次さんと西田の3人でお話ししました。

東京から糸島に移住

−西田:こんにちは〜お久しぶりです、宜しくお願いします。中村さんは2020年6月に糸島と東京の2拠点生活を始め、2020年12月からは完全に糸島に移住されていらっしゃるんですよね。

中村さん:元々は糸島の友人のところに遊びに来てひとめぼれしたのをきっかけに、4年間ほぼ毎月糸島に通いました。その後、色んなタイミングも重なり移住しました。最初は飲食店のオーナーシェフやお客さんと知り合い、その後も市役所の方や大学の先生、まちづくりコミュニティ関係の皆さんなど、幅広い方とご縁ができていきました。

中村真紀
株式会社まんま 代表取締役社長 (https://mamma.company/
サツドラホールディングス株式会社 社外取締役
株式会社OKAN 社外取締役

ウォルマート(西友)の執行役員 シニア・バイス・プレジデントや外資系物流企業の日本法人社長など、小売・流通業界の役員やトップを歴任。コロナ禍を機に独立し福岡・糸島に移住。企業のコンサルティング、経営アドバイザーや、個人向けのコーチング、そして糸島での地域活動や糸島産のぶどうでワインをつくるプロジェクトなどにも参画中

−西田:すごい!すっかり糸島の方ですね。この数年で色んな移住者の方が来られていて多様なコミュニティが作られているのかな、と感じています。私も何人かお友達がいますよ。

企業のダイバーシティ&女性活躍

−西田:少し前に某シンクタンクに「福岡女性の東京流出増は、給料が理由?」と聞かれ、フラットで女性が働きやすいとか出会いの期待もあるのでは?と答えたら驚かれたし、記者さんに「九州が女性に選ばれるにには?」と聞かれ「企業さん、とりわけ女性に選ばれたいと思っていますかね?」と答えてみました(笑) 先進企業は良い人に来てもらい良い事業・サービス展開のため、必然的に働き方やダイバーシティの取組みが進みますが、全体的にはまだまだですよね。

−吉次:福岡は人が多く危機感少ないですが、他では学校がなくなり街が小さくなっていく危機感があります。あと女性を守って難しい仕事をさせない、管理職もなりたくないだろうと決めつけている方も多いですしね。

−西田:キャリアやライフイベントに煮詰まって疲弊している女性をよく見るので、もっと色んな企業や生き方があるよって伝えたいですね〜。

中村さん:日々の環境は恐ろしいですよね。関わっている企業で女性管理職手前のワークショップを行ったら「管理職になるのは不安」の声が多くて。総合職の男女は入社前の大学の頃は同じような能力だったはずなのに、その環境に十何年もいると無意識に抑圧されてしまうんだなって感じますね。

−吉次:私も企業研修や社会人女性向け大学リカレント講座にも関わっていますが、女性に学びや投資をしてこなかった企業からすると企業派遣も高く感じます。ただ若い女性を見ていると、自己投資に積極的な人もいて良いなと思いますね。
ちなみに中村さんは、東京の企業顧問やアドバイザーをされる際、まずどのように企業を見ていらっしゃいますか?

中村さん :何のために事業をし、社員をどのように大切にしているか、地域や社会に開かれているかなどですね。ダイバーシティに関するテーマが多いですが、社長は本気なのか建前だけかは見ています。オンラインでもできますが、結局現地に行って本音で聞いてみると課題がどんどん出てきますしね。

複数のポートフォリオを持つ生き方へ

−西田:組織の大きな変化を経験した人は、ダイバーシティの本質理解が早いですが、何もない無敵みたいな組織にずっといると気づきにくいですよね。ただ最近は大手企業バブル世代のセカンドキャリア相談も増え、マインドの変換に苦心されています。これからは中高年男性セカンドキャリアのロールモデルセッションとか流行るかもしれませんね?!

中村さん:男性のキャリアもやっとそういうことが少し言える時代になったと思いますね。これまでは会社で成長し出世しなきゃという感じだったし。もっと、その会社、その人に合った色んなやり方や考え方があっていいのかなと思います。

−吉次:組織も規模を大きくしない経営もあるし、大きくしていくもあるし、色々あっていいですよね。ただ地域は本当に人が減るので、人数を集めればいいという考えだと生き残りが厳しくなりますね。

−西田:経営者は思いをしっかり伝え、社員も意見を言えるような組織は素敵だなと思います。最近は、トラブルや離職が増えマネジメント不全になりつつある中小企業さんからの相談が増えています。どこも「こんなことになるなんて」と根底はコミュニケーションを深く取っていないことに起因していると思いますが、皆さん頑張って取り組もうとされています。
 中村さんは大企業の役員や外資系企業の日本法人代表から、糸島中心の生活に変わられて数年経ちますが、今後の理想のポートフォリオはありますか?

中村さん:今は札幌と東京の企業に関わっているので、気づくと糸島にいる時間が少なくなっているので、糸島にいる時間をもっと増やしたいし、もう少し農業もやりたいですね。糸島に暮らしていると、毎日色んな面白いイベントがあるんですよ、日常の暮らしの中でもっとそういう地域のものに深く関わりたいと思っています。そのバランスをとっていく感じですね!

「糸島の顔がみえる本屋さん」 https://www.instagram.com/itoshimahonya/

−西田:前原商店街で本屋さんもされていますよね。私も訪ねましたが、その日の店番の方と本を介してお話ししたり、とても素敵な場所だと思いました。
 中村さんのHPに「自分のありのままを受け入れれば、道は自然に開ける
」とありますが、お一人お一人にとって良いバランスのキャリアと暮らしが作れるような社会、それを受け入れられるダイバーシティ&インクルージョンな企業や地域に人は集まりますよね。「そのまんま」の自分で生き抜く中村さんと貴重なお話しができて、楽しかったです。ありがとうございました、また、糸島にお訪ねしますね!