株式会社Waris共同代表の河京子さんにお話を伺いました。Warisは主に女性の事務系総合職フリーランスエージェントの先駆けの企業で、現在はWarisプロフェッショナルや、Warisエグゼクティブ等のサービスを展開されています。東京本社の企業ですが、共同代表の1人であり私の友人でもある河さんは、福岡糸島にお住まいで最近はKBC「アサデス。KBC」のコメンテーターも時々担当されています。
―お久しぶりです。糸島の生活は慣れました?
河さん:お久しぶりです。糸島からのリモート経営も慣れて、子どもも元気に保育園に通っています。海も山も近くて、のびのびしていますよ。
―移住して福岡を気に入ってくれる人が増えて嬉しいです。色々話したいことはありますが、今日は最近の個人と企業の関係性の変化や、九州と他地域の違いなどについて伺えればと思います。コロナ禍でもありますが、個人の方の相談状況はどのような感じですか?
河さん:以前はキャリアや働き方にモヤモヤ悩んでいる女性の相談も多かったですが、この数年で社会環境変化や様々な情報にも触れ個人側のリテラシーが高まったのか、「お悩み相談」はだいぶ減りました。経験職種や業界もバラエティに富んだ方が増え、個人タレントマネジメント事務所のような感じになってきています。働き方の価値観が多様化し、当社の「Live Your Life すべての人に、自分らしい人生を。」というビジョンに共感してくださる方が、男性も含めてどんどん増えています。
―男性も増えてるんですね。 企業側はどうでしょう?
河さん:企業からも順調にご相談いただいています。今後、労働人口が減ってますます優秀層が取り合いになるのは明らかで、フルタイムで年収1000万クラスの方を「地域だから」「中小ベンチャー企業だから」と言って500万で採用することはもう難しいですよね。企業側も柔軟な働き方に対応せざるを得なくなってきています。
―ようやく人材市場や働き方の価値観の変化を分かっていただける企業が増えてきた感じですね。
河さん: それに、これからは個人も一生学び続け、自分がどう生きたいのか、どんな経験をしたら良いか等をもっと考えていく時代になると思います。Live Your Lifeのサポートとして、学びと就労を支援できるようにしていきたいですね。また企業側もリテラシーを高めないと人が集まらなくなるので、エージェントモデルと並行して、様々なモデルも検討し始めています。
―エージェントや転職サイト、リファラルやダイレクトリクルーティング等、企業と個人の出会いの入口は多様化しても、結局自分たち企業の魅力やリテラシーを高めないと、出会った「その後」がポイントですよね。
河さん:圧倒的にそこを大事にしないと企業が本当に選ばれない、サボってはいけないと思います。働き方云々ではなく、魅力的な人が集まり、成果を出しやすい環境、カルチャーである企業なのか。私たちは社内用語で「マジレボ」って言っているのですが「マジで変容しようと、本気でレボリューションしようとしている企業」を中心に支援していきたいですね。マジレボ企業は、アップデートして色んな働き方も受け入れられるようにされています。
―マジレボ!なるほど〜。 確かに本気の変革なのか、はたまた表面的なのかはこちら側には伝わりますよね。
河さん:学生もナビ系サイトや学校紹介で企業を知っても、企業HPやSNS等、社内メンバーが自分の言葉で直接発信しているもの見て、受けるか決める時代です。インナー(社内)コミュニケーションと外向けのコミュニケーションが一気通貫している状態を目指す必要があります。新卒・中途を問わず、何をやりたくてこの企業に入るのか、どんなカルチャーでどんな人が働いているのか顔が見える状態、その接点・プロセスにおいても感動を高めていけると良いですよね。またそうすることで、明確な求人ニーズではなくても、何となくこういう人が良いかもと、もっと双方の出会いが増えていくと思います。
―社内外のコミュニケーションに本音と建前やダブルスタンダートはもう通じないですよね。情報リテラシーやデジタル化のテーマとセットで、企業向けに私もよくお話します。また、せっかく経営戦略や組織カルチャーを理解して、経営者に「こういう人が良いのでは」と提案しても、多様な働き方を受け止められず「正社員じゃないと無理」と終わってしまうもったいない状態もよく見受けられますよね。
ダイバーシティ対応も、体裁を整えるために女性幹部・管理職をお迎えしたいのかな、とその雰囲気は透けて見えるし、そうはっきり仰る企業もまだまだありますね(笑)
河さん:女性管理職求人の多くはフル残業も出張転勤もそのまま要件にあることが多く、一般的にリーダーや管理職になる30〜40代は子育て世代でもあり「それだとかなり難しいですよ、働き方を少し考えましょう」と伝えても、ほぼ変えられないです。東京は歩み寄ってどう変えたらいいのかと、変容が進んでいる企業も増えています。一方で関西では働き方の変容についてはまだまだ難しさを感じています。男性も女性も関係ないかわりに、この働き方に合う人はどうぞ、というスタンスが多いように感じます。そういう地域差はやっぱりまだありますよね。そしてここ九州はほとんど話題にもなってない気がします、残念ながら(笑)。
―(笑)。私も福岡九州の経営層とお話していて、ダイバーシティ・女性活躍に関しては本当に東京との意識の差を痛感しています。もちろん、これまでの環境から地域にビジネス系の女性管理職や幹部人材が少ないという需給の関係はあるけれど、「だから仕方ない」とか「そもそも必要なのか」と片付けるのは違うなぁと。福岡での啓蒙、一緒にがんばりましょう!
河さん:女性管理職やその候補層の育成も大事ですよね。ホント啓蒙していきましょう!
―ちなみに、プロフェッショナルフリーランス系のマッチングはやや難易度も高いですが、今後どのようになっていくと思いますか?
河さん:今はまだプロフェッショナルフリーランスジョブの方が少なく、一見、企業側が選べる立場にあるように見えます。でももう少ししたら更なる労働人口不足によってプロフェッショナル人材側が案件を選べる立場になっていくと思っています。そうなった時にスキルチェックだけではなく、いかにもっと自分が成長できそうか、どんなカルチャーか等の視点が出てくるわけじゃないですか。そこを掴めていないと本当の意味でのハッピーなマッチングができないので、Warisはそこを磨き続けようと思っています。自分にとって何が面白いのか、魅力的なのか、そういう個人のwillに常に寄り添って言語化していくプロセスを、今後も大事に続けようと思っています。
―そしてそのような働き方を選択できるよう、一人一人が一生学び続けることも大事だし、企業も多様な人達(価値観・個性・能力・働き方など)と一緒に働くこと自体をポジティブに楽しめる社会を目指したいですね。引き続き宜しくお願いします! 本日は貴重なお話をありがとうございました。
(インタビュアー MIMOSA+ 西田明紀)
株式会社Waris https://waris.co.jp/
東京都千代田区神田鍛冶町3丁目7神田カドウチビル8F 共同代表
米倉史夏
田中美和
河 京子 2013年4月1日設立 事業内容:人材サービス、有料職業紹介事業、各種セミナー、イベント等の企画・開催・運営