株式会社西部技研

取締役経営管理本部長の平川美和様と、代表取締役社長の隈扶三郎様にお話をお聴きしました。

株式会社西部技研
https://seibu-giken.com/

◆創業:1962年11月 (設立  1965年7月)
◆事業内容:全熱交換器、デシカント除湿機、有機溶剤濃縮装置の製造・サービス(省エネルギーや環境保全領域など)
◆従業員:300名
◆本社:福岡県古賀市青柳3108-3
◆認証:ダイバーシティ経営企業100選、地域未来牽引企業(経済産業省)子育てサポート企業くるみん(厚生労働省)他
◆領事館:在福岡スウェーデン名誉領事館、在福岡ノルウェー名誉領事館 

-本日はよろしくお願いします。平川さんは2017年に執行役員、2019年に現在の取締役にご就任されています。入社後、どのようなご経歴だったのでしょうか?
隈社長― 彼女は入社後、当時の社長である私の父の秘書、その後も社長室や総務を担当していました。経理は私の母が担当し、その後は銀行出身の方が担当した時期もあったのですが、彼女が適任なのではとなり、7年前から経理財務を見てもらっています。

―それまでの社長室から、経理財務担当に異動されたのですね。そしてシニアマネージャー(部長職)を経て、2017年女性初の執行役員になられます。
隈社長― 経営陣の世代交代の時期になり、新しく執行役員制度を入れ、40代を3人抜擢しました。その中の一人が彼女で、役員の世代交代のインパクトの中に女性もいる、という感じでした。会社では女性活躍推進に取り組んできましたし、既にシニアマネージャーだったので、社内でも特に大きな違和感はなかったと思います。

取締役経営管理本部長 平川美和氏

―さらに2019年に取締役に就任されたのですね。
隈社長― 取締役の1名が65歳となり、当社で定年の年齢なので、次どうしようと。当初は社外も考えたのですが、今の執行役員の中からと思い、色んなバランスを考えファイナンス担当の彼女になってもらおうと。
平川取締役―  もう社員ではなく、経営責任を負うことになるので身の引き締まる思い、覚悟を決めたという感じでしょうか。

―男性が多い製造業の組織における女性役員の影響について、多様性・ダイバーシティの観点から感じることはありますか。
平川取締役― 男性と女性でものの見方は結構違うと感じることもあり「こういう意見はどうか」と率直に言うように心がけています。全員男性、全員女性だとどうしても観点が同じになる傾向があり、今までのやり方はこうだから、こういう考え方で良いんだとなりがちです。
隈社長― 大事な点だと思う。女性だからというわけではないが、異なる意見に対し、それを周りが聴くという姿勢がないと、形だけ女性役員を置くのでは多様性の意味がないですよね。社長になりもう20年なので、誰も経営会議で面と向かって私に厳しい事言わない。まぁ忖度するか、違う意見を言ったら雰囲気が殺伐となる(笑)。でもバックグラウンドが違う女性が言うと、素直に聞ける部分もありますね。

代表取締役社長 隈扶三郎氏

― 会話の中に女性が入ることで、揺らぎが出ますよね。

隈社長― そう、男だけだと場が揺らがない、詰まった感じになりやすい。女性が入ると会話に流れや動きが出て多様化します。会社の方針が分かりやすく決まっていてただ進む時は、予定調和的でも良いかもしれないが、予測不能なこれからの時代、予定調和では衰退していくと思います。

―これまでダイバーシティや女性活躍の取組みを進めてきて、これは社内が変わった、インパクトがあった等の取組みはありますか?
隈社長― 数年前に初めて女性だけ集めて研修したとき、厳しい意見が多かったんです。同時期に女性部下を持つ男性管理職だけ集めたら、多くが「自分はうまくやっている」と認識していて凄くギャップがありました。だからロールプレイをやったりして、結構インパクトがあったと思います。

―女性の取締役もいらっしゃって、ダイバーシティの推進などもされてきて、最近の社内の雰囲気はいかがですか。
隈社長― 開発部門は女性が増え、男性のトップも昔の叩き上げの雰囲気からだいぶ脱却して柔軟になっていると思いますね。ただ元々、女性は機械専攻が少なく、まだ設計部門には少ないです。男性が多い中ではありますが、これからの彼女たちの活躍に期待しています。
平川取締役― 社内に保育園も作り、物理的に両立が出来ないという理由で辞める人は居ないです。みんな当たり前に復帰した上で、その後のキャリアの作り方が課題ですね。意欲はあるものの業務時間が限られているし、引き受けて出来なかったら迷惑かなと遠慮してしまう。その空気を察して、上司が先回りして配慮し、与える仕事をセーブする、その結果、キャリアが停滞しがちです。上司は特に意識をして本人とよく対話しながら仕事を与えていかないといけないですね。

― 他でも良く聞く課題ですね、結果的に戦力化が進んでいかないと。
平川取締役― 個々に意向や事情も違うので難しいですね。正解もないし一人一人に違うプラン考える必要があります。女性は自分を主張して突破するほどの自信を持てない傾向があるので、上司はよく話を聞いて、背中を押してほしいです。真面目に悩みすぎて仕事か育児か、一世一代の覚悟みたいな感じで相談してくる人もいますけれど、もう少し柔軟に考えて、やれることからやっていけばいいと思います。


隈社長― 本来は男性も同じで、個々で事情や考え方はバラバラなので、男女問わずキャリアを考え、職域も広げ戦力化していきたいと思います。先日、他の製造業の経営者の皆さんとの勉強会で、SDGsのテーマから女性役員・女性管理職の話題になったのですが、皆さんなかなかご苦労されているようでした。当社はこうして取締役やシニアマネージャーにも女性がいるので、引き続きダイバーシティの推進に取り組み、好循環を生み出していきたいと思います。

― コアテクノロジーであるハニカム構造体を軸に、中国やアメリカ等にも拠点を持たれているグローバル企業として、多様性を強みとする組織でますますパワーアップされることを確信しました。本日は貴重なお話をありがとうございました!